パタリロ! ひさしぶりの正伝おすすめ度
★★★★☆
パタリロ! 正伝の81巻です。
ここのところ、外伝ものの「パタリロ西遊記」や「家政婦パタリロ」、「パタリロ源氏物語」(いきなり話逸れますが、愛知県名古屋市で重要文化財クラスの源氏物語絵巻が発見されたそうですね。17世紀頃の作とか、ロマンですねぇ)と外伝ものが多かったパタリロでしたが、ひさびさに正伝です。つまりはマリネラの少年国王パタリロ=ド=マリネール8世が活躍するシリーズ本編です。
美少年、少年愛という言葉が世の中にここまで認知される切っ掛けになった作品ですから、作品自体知ってる方も多いでしょうけれど、まだ連載が続いているというと驚く人もいるでしょう。
でも、作品世界的には昔のパタリロ!のままですのでご安心を。パタリロ!を筆頭に、タマネギ部隊も黒タマも、霊感少年の44号もマライヒもバンコラン小佐もいつものままです。強いていえば、本当に予定調和的な一話完結の小話が多いので、昔のスターダスト作戦やキーンおじさんとの対決といった盛り上がる長編もたまには読みたいです。
だから81巻の中では、バンコランの指紋の謎の話がそんなふくらみを見せるのかと思いきや、あっさりオチがついたのが残念。
これ1冊でパタリロの魅力がわかる
おすすめ度 ★★★★☆
これまでに培われた「パタリロ」の様々な面白さがまんべんなく盛り込まれていて楽しめます。
「ブラックジョーク」「推理物」「不条理世界」「時代劇と妖怪もの」「本格ミステリー」「ほのぼの話」等の多様なジャンルが盛り込まれ、「これ1冊でパタリロの魅力がわかる入門書」とさえ言えると思います。
殺人事件やミステリーものにつきものの「グロテスクな要素」も多少はありますが、個人的には「この程度なら適度な刺激として許容できる」という思いになります(ただ、「朝はどこから」の不条理世界はあまりにもリアリティーがなくてついていけませんが)。
この巻の一番の読みどころは「なぜバンコランはいつも手袋をつけているか」という謎解き(?)の話でしょうか。オチには見事に肩すかしを食らいましたが、この話の「花のバンコラン」のタイトルには妙に納得させられたものです。