R・アルドリッチ監督の傑作おすすめ度
★★★★★
昔映画館で見てから、長らくDVDでの発売を待ちかねていた映画で、皆さんとともに楽しめるようになったことを大いに喜びたい。
この映画には、J・スチュワート、R・アッテンボローなど、名優たちが何人も出演して演技を競っているが、今度DVDでゆっくりと鑑賞して、私にとってこの映画の「主演者」は、数々の戦争映画でナチの将校役を演じておなじみのH・クリューガーだと思った。
偶々飛行機に乗り合わせて砂漠に不時着した7名が、飛行機設計者であるという彼の提案に乗って、飛行機の改造に乗り出すのだが、やがて彼は「・・・」(とくに秘す)であることがわかる、というのが実におかしい。それにもかかわらず7名は改造飛行機を完成し、「フェニックス号」は無事飛び立つのである。このラストシーンは、あらゆる映画の中でもトップクラスのカタルシスを与えてくれる。一見をお勧めしたい。終始寡黙なH・クリューガーから目を離してはいけません。
「あの男たち」の奇跡の翼が、DVDでも甦りました。おすすめ度
★★★★★
昔の俳優さんたちは、どうしてこんなに個性的で、誰もが確かな演技力を備えて、一人一人が見事な位の存在感に溢れているのだろう……まず、そんな感慨を改めて覚えてしまいます。何しろ、出演はジェームズ・スチュアート、リチャード・アッテンボロー、更にピーター・フィンチからジョージ・ケネディに至るまで、実に錚々たる顔ぶれです。
むさ苦しい男ばかりの一団が試みる極限状態からの脱出劇。周囲は見渡す限りの砂漠で、色彩さえも極めて乏しい映像なのに、物語が進むに連れて、見る側の心が次第に豊かな感動に包まれて行き、最後には不思議な位に大きく温かく変化しているのを感じます。卑怯極まる最低の人間として描かれている人物でさえ、生還場面で見せる笑顔に「ああ、ともかくも、生き抜いてくれて良かった……」と、思わず感じさせてしまう、そんな作品です。
ただ、日本語吹替音声を収録したDVDを手にする度に思うのですが、吹替を担当しておられる声優さんの扱いが余りにお粗末です。この作品の場合、収録されているのはTV放映時の吹替音声ですが、ジャケットの配役表(役名・俳優名・声優名)には、主要人物5名のみしか記載がありません。青野武さん、槐柳二さん、塩沢兼人さんなど、声を聞いただけでそれと判る有名な声優さんが他にも多数出演しておられましたので、余計に気になりました。考えてみれば、日本語吹替版ビデオの多くは、本編終了後に「声の出演」のクレジットをきちんと入れてくれていたのに、日本語吹替音声を収録したDVDでは、オリジナル吹替であれTV放映時の吹替であれ、これまで一度もそうしたクレジット入りのソフトを見たことがありません。これは、購入者に対するサービスの問題と言うよりも、声の出演者に対する礼儀の問題、引いては権利に関わる問題をも含むのではないかと思われます。作品自体には何の不満も無かっただけに、返ってそうしたことが気になりました。
サバイバル物の名作です。今年リメイク版が公開です。
おすすめ度 ★★★★☆
男っぽいサバイバル映画の名作です。
小型飛行機が墜落してその後どうやって砂漠から脱出するかが「鍵」です。
当時の名優の共演も好きですが、男のぶつかり合い・執念が面白いです。
特にラストが大好きです。
それとこの飛行機には俳優のジョージ・ケネディとアーネスト・ボーグナインが乗っていたのが大笑いでした。この2人が乗っていたら、小型飛行機ぐらい簡単に墜落するでしょう(笑)。
今年リメイク版が公開されますが、予告を観る限りアクション性の強い物になっているようです。
概要
石油会社の輸送機がサハラ砂漠を横断中、砂嵐に遭い不時着。無線は壊れ、灼熱の砂漠を歩くことも不可という極限状況の中、航空技師ドーフマン(ハーディ・クリューガー)は輸送機を単発機に改造して飛ばすことを提案。はじめはとりあおうとしなかったフランク機長(ジェームズ・スチュアート)だが、やがてそれしか生存の道はないことを悟り、飛行機組み立てに着手する。
男の世界を描いたら右に出る者のいない名匠ロバート・アルドリッチ監督の代表作の1本。秀逸なアイデアと、砂漠からの脱出を試みる名優たちの赤裸々な熱演、そしてダイナミックな演出とが見事に一体化し、まさに手に汗にぎるスリリングで熱い傑作に仕上がっている。後にジョン・ムーア監督のメガホンで『フライト・オブ・フェニックス』としてリメイクもなされている。(増當竜也)