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地獄に堕ちた勇者ども

ルキノ・ビスコンティ
おすすめ度:★★★★★
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初見
おすすめ度 ★★★★★

栄枯盛衰、権謀術数、眉目秀麗…巨匠ヴィスコンティの巨匠たるエッセンスがぶっこまれてますねー。
何が凄いって「またのらりくらりしてるなー」と思って観るうち、気がついたらどうしようもなく盛り上がっちゃってるところはやっぱり天才かなとか…
あと綺麗な男の子たちが女装して踊った次の朝皆殺しになっちゃう虚しい装飾と侘しい汗と鮮血。
そして招かれざる客。
あと血の呪縛→歪んだ性愛→狂気ってとこかねとりあえず。
Hitler hairdoが似合ってしまうHelmut Bergerは気持ち悪いくらい綺麗ですね。裸も良いね。裸足も良いね。
序盤キャラの把握が難しかったけど、イノセント等同監督の別作品とはまた別の緊張感にみなぎってて、結構、引き摺られるようにして観た。
大体19世紀とかじゃないからね。第2次世界大戦直前ですか。重さのタイプが違うよね。



地獄のオペラ 
おすすめ度 ★★★★★

 とにかく圧倒的に面白い。映画は上流階級の人々の贅沢三昧の暮らしぶりをみせて始まる。だがほどなく分かるそのすさまじいまでの異常さ。女装趣味で、幼児性愛の男あり、その男のこれまた常ならぬ母あり、その母の常ならぬ恋人あり。そして極めつけはその母と息子の関係。目を背けたくなるような異常な人々の異常な生活の断面がこの映画を埋め尽くす。その地獄ぶりは、私の頭にある貧しく、みみっちい地獄よりも何倍も恐ろしく、その描き方は震えがくるほどリアルで美しい。チューリンの最期のシーンの「死に化粧」した顔が1週間くらい夢にでてきて悩まされた。これだけのとんでもない映画にはそうそうお目にかかれないだろう。映画がある意味、常ならぬ物だった時代が懐かしい。



おお、これがあの有名なシーンか
おすすめ度 ★★★☆☆

実はこの作品は長らく知ってはいたけどかなり最近まで見たことがなかった。
それで、ヘルムート・バーガーの女装=マレーネ・ディートリッヒのパロディ、
が非常に有名だったことや、ヴィスコンティのドイツ三部作の一つだったことなど、
前知識ばかり無駄に増えてから観た。

それがいけなかったのかもしれない。
どうも今ひとつだった。今ひとつだった最大の理由として、
この映画もドイツ三部作の他の二作と同様、
その役にぴったりの顔と雰囲気をもった役者を配しているけど、
スティールを見て想像した以上の破壊力を役者から感じなかったからだと思う。

演技がそれを超えているのは、ダーク・ボガードと、
イングリット・チューリン。だったらもう十分じゃないかという気がするのだけど、
とにかく、この映画といえばヘルムート・バーガーの演技という評判だったので、
シャーロット・ランブリングの演技ともども、
ちぇってな印象のほうが強くなってしまった。



ごめんなんさい。退屈だったわ。
おすすめ度 ★★★★☆

 とにかくタイトルにやられた。勿論本当はこのタイトルではない。付けた人はものすごく偉い!!!映画史に残る名タイトルだ。 

世界観は『退廃』がテーマなので、観ていて退屈なのは当然なのだ。本物の貴族はあまりにも恵まれているために、生きることに退屈しているんですな。なので歴史にも残っているように、どんどんアブノーマルな行動へと欲望を向けてしまう。ヘルムートバーガーの変態演技はなかなかの見物。監督が「君のその全てを知っているような目がいい」と口説いて出演させたシャーロット・ランプリングの存在感もいい。
けど、よくも悪くも、やっぱり退屈だった。なのでタイトル2つ分の星をつけて4つ。
蛇足だがヘルムートバーガーが歌うシーンはマレーネ・デートリヒのまね。『嘆きの天使』に使われたもので「わたしは本物のオトコが欲しい」という彼にしたらかなり意味深な歌。



これは毒です
おすすめ度 ★★★★★

絶対にビデオで見るべきでない映画というものがありますが、ビスコンティの作品はその最たるものといえるでしょう。特にこの作品のように、舞台劇的な要素の強い(アクションや編集の妙で見せるのでなく、あくまでも演技で勝負する)作品は、その空気に上手く乗り切れないと、観ている方は非常にダレてしまいます。以前ビデオ版を試したことがありましたが,映像が汚くて観ちゃいられませんでした。その点、劇場で観るほどの臨場感は望めないにせよ、DVDでの復活はうれしい限りです。

  それにしても毒のある作品ですねえ。もうあまりに毒が強過ぎて、分からない人にはまるで分からないと言う可能性さえあるでしょう。一つの文化の崩壊を描いた作品として、近年"アメリカン・ビュティー”がありましたが、この作品に比べると軽い軽い。何やらただならぬ妖気に満ちあふれた映画です、しかしながら、私は"退廃美”とか、"狂気と倒錯”といった言葉のみに惹かれてこの作品を見た人はむしろその本質を見失うのではないかと危惧してしまいます。

  この作品はヨーロッパ文明の崩壊を象徴的に描いた作品ですが、その近代ヨーロッパ文明の礎を築いたルネサンスを強力に推進したプロモーターは、ほかならぬビスコンティ家だったのです。それから約500年後、この家系の末裔、ルキノがその終焉をみとることになろうとはー。彼にとってこの作品を作るということは、"退廃の美"などと言う生易しいものではなく、"痛恨の極み"そのものだったのはないでしょうか。その運命も凄まじいが、それを敢然と受けて立ち、芸術へと昇華してしまう彼のエネルギーもまた凄まじい。まさに刮目して観るべき作品だと思います。

概要
ナチスが台頭してきた1933年のドイツ、ルール地方の製鉄王エッセンベック男爵が、その誕生日に支配人のフリードリッヒ(ダーク・ボガート)によって射殺された。すべては男爵の従兄アッシェンバッハ(ヘルムート・グルーム)の差し金であり、その後も一族の者同士、血と愛欲にまみれた争いが続いていく……。
『ベニスに死す』と『ルードヴィヒ』に挟まる名匠ルキノ・ヴィスコンティ監督のドイツ三部作の1編。ワーグナーのオペラ『ニーベルンクの指環』をヒントに、ブルジョワの崩壊と第三帝国の到来を重ね合わせながら、デカダンス色に満ちた映像美学が荘厳に繰り広げられていく。ヴィスコンティ好みのキャスティングや、モーリス・ジャールによる狂気と耽美をあわせもつ音楽の素晴らしさも特筆的。百聞は一見にしかずで、一度は見ておくべき、狂える名作である。(的田也寸志)

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