概要
ナチスが台頭してきた1933年のドイツ、ルール地方の製鉄王エッセンベック男爵が、その誕生日に支配人のフリードリッヒ(ダーク・ボガート)によって射殺された。すべては男爵の従兄アッシェンバッハ(ヘルムート・グルーム)の差し金であり、その後も一族の者同士、血と愛欲にまみれた争いが続いていく……。 『ベニスに死す』と『ルードヴィヒ』に挟まる名匠ルキノ・ヴィスコンティ監督のドイツ三部作の1編。ワーグナーのオペラ『ニーベルンクの指環』をヒントに、ブルジョワの崩壊と第三帝国の到来を重ね合わせながら、デカダンス色に満ちた映像美学が荘厳に繰り広げられていく。ヴィスコンティ好みのキャスティングや、モーリス・ジャールによる狂気と耽美をあわせもつ音楽の素晴らしさも特筆的。百聞は一見にしかずで、一度は見ておくべき、狂える名作である。(的田也寸志)
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