ここに私が居る、ここにあなたが居るおすすめ度
★★★★★
自殺者の数は年間3万人。その3万人の一人ひとりの人生は
それは壮絶で悲しみに満ちたものだろうと思う。
その一人の姿をいやと言うほど見ることが出来る。
救おうとして助けられなかった者の慟哭も。
氏はこの本を書くとき、編集の静止も聞かず、どんどんとページを増やし
書き連ねてしまったと言う。書かずにはいられなかったのだろう。
何が原因か、誰が悪か、そんなことどうでもいい。
今まさに死のうとしている人が居る。どうすればその絶望から救うことが
できるのか。
自殺など遠い話しのことと思っている人ほど読んで欲しい。
あまりにも重いおすすめ度
★★★★★
典型的なアダルトチルドレンをもった親子の悲劇とは一蹴できない。親の過保護という視点で本書を批評する視点を著者自らが乗り越えようとしたプロセスがそのまま描かれているといった印象をうけた。本書でも著者自身もそのようにいっているが、著者の苦悩が色濃く描かれている。特に、科学的な考えを信望している著者が、一人の人間として、死に向き合おうとする姿は他人ごととは思えなかった。自らの体験を一般論へと昇華させようとするのは、一体どんな気持ちなのだろうと思った。
宮沢賢治との共通点
おすすめ度 ★★★★★
自死された柳田洋二郎さんは、精神的な面が大変発達している印象がある。
そういう人は、えてして世俗的な方面に対しては興味を発展させない。
仏教の僧侶など自覚的にそういうスタイルを取っているし、それ自体稀有なことだが、洋二郎さんは社会との物理的なギャップに加えて、そうした誰とも分かち得ない精神的な孤独にさいなまれていたのではないか。
自死という最後にもかかわらず、命は光り輝きつづける。
宮沢賢治の春と修羅の一節が心に浮かびます。
「俺は少しぐらいの仕事が出来てそいつに腰をかけてるようなそんな多数をいちばんいやに思うのだ」
「みんなが町で暮らしたり一日あそんでいるときにおまえは一人であの石原の草を刈る」
「その寂しさでおまえは音をつくるのだ 多くの侮辱や窮乏のそれらをかんで歌うのだ」
「力の限りそらいっぱいの光で出来たパイプオルガンを弾くがいい」
25年の生涯を通じて、光のパイプオルガンを精いっぱい鳴らされたと思う。