ローマによるイタリア統一の過程が分かりやすく説明されている。ローマにとって最初の成分法となる十二表法成立の背後関係とか、ケルト人来襲によるローマ陥落とその後の復興などは、ローマ人の良い特徴が現れていると思う。
ローマが王制から共和制に移ってから、政体について動揺を繰り返していたが、リキニウス法の制定で政治的な安定を見る。共和制ローマを支える政治体制や税制、市民権の概念、インフラ整備についての考え方、他の民族との関係(ローマ連合の特徴)を、同時代の他の都市国家との比較検討することで、ローマの特徴をうまく描きだしていると思う
積み重ねています。おすすめ度
★★★★☆
この巻の出来も立派だと思います。複雑な周辺事情をも正しい順序
で説明してくれているのでしょうかね。
お話はギリシアへの派遣視察団が帰国するところから続きます。前
449年十二表法の制定により、共和制ローマとして、ローマ人は歩
み始めます。塩野さんの説明がすごくわかりやすかったのは、この
共和制というのが、現在のフランスの共和制などとはまったく異質
の政体であるこというものでした。翻訳の問題なのだろうが、歴史
を志すものには重要なポイントなので、イメージだけでもしっかり
持ちたいところ。といいつつ私もすこし忘れている。しかし、彼ら
の文明はこの時期に法律が必要なほど高いものだったとも考えられ
るし、日本では成文法は聖徳太子の17条の憲法(604年)まで法律が
なくても、モラルのあった生活をしていたとも考えられる。
■ ともかく政体を変える事により、躍進するかと思った共和制ロ
ーマなのですが、文化レベルでは蛮族と言わざるを得ない、ケルト
人により、壊滅的な敗北をすることになります。これが前390年の出
来事です。このケルト人は去年流行したceltic womanや、有名なenya
もそうですし、もっとも好きなのはThe Chieftains等、他にリバー
ダンスなどの文化の源流たるケルト人ですが、このころは蛮族でしか
なかったんですね。しかし、この時期は森に棲む民族として、広く生
きていました。ドイツにも、スイスにも、フランスにも、スペインに
も。375年にゲルマン人の大移動が始まるまでは、深い森の中でケルト
人は暮らしていたのですね。
さまざまな様子が事細かにかかれていて、非常に読後感も素晴らしい
ものでした。
ギリシャから2000年以上経っておすすめ度
★★★★★
塩野が案内してくれるローマ史学の旅の二冊目。
ローマを語るにおいて 塩野はギリシャが欠かせないという。そんな塩野が 本書では まずギリシャをじっくり描いてくれる。
白眉はやはりぺリクレスであろう。塩野が紹介する彼の演説は 正直読んでいてため息しかでなかった。特に好きな箇所を抜き出す。
「われわれは美を愛する。だが 節度をもって。われわれは知を尊ぶ。しかし 溺れることなしに。われわれは 富を追求する。だが これも 可能性を保持するためであって 愚かにも自慢するためではない。
アテネでは 貧しいことは恥ではない。だが 貧しさから脱出しようと努めないことは 恥とされる。」
かような発言が2000年以上前にあった点で 人間は大したものだと感心する。一方 それから2000年もの間 いったい人間は進化してきたのかと いささか絶望感も覚える。
こんなギリシャを しかし ローマは 学んでも真似はしなかった。それが 滅んでいったギリシャと 版図を広げていったローマの違いである点も 塩野ははっきりと指摘している。
本書で描かれるローマは ギリシャから学び、敗戦から学び、そうしてローマになっていった始まりを描いている。
話は始まったばかりなのだ。
アテネとスパルタとローマおすすめ度
★★★★★
最近300という映画が公開されていたがまさにあの様子が文章から溢れてくる。
いかにスパルタという都市国家が特殊だったか、いかにアテネが反映を極めていたか、そしてその絶頂期のアテネを視察したローマがアテネの真似を全くしなかったのは何故なのか・・・
2500年経っても人間というのは進化していないのかペルクリスの演説の名文句に唸ってしまう。
そしてペルクリスの「貧しいことは恥ではないが貧しさに安住することは恥だ」の言葉を是非ユルユルの甘えたことを言っている日本人に聞かせてあげたい。
日本は縄文時代
おすすめ度 ★★★★☆
日本では縄文時代のローマ・ギリシアの話
ローマとギリシアの対比がより史実をわかりやすくしている。
大きな意味での時代背景がわかりやすい。