パロマ、不二屋と同族企業の不祥事が相次ぐ中で本書を手にしたが、同族企業にかかわらず、数々の経営の落とし穴を浮き彫りにしている。読み物としても息もつかせぬページタナー。組織論としても秀逸で、本書をめぐって論議が沸くことを期待する。
ファミリー企業の繁栄と衰退がよくわかる一冊おすすめ度
★★★★☆
特に自動車部門のフォードやトヨタに関して興味を持ちました。よりGMなどとの
関係などを知りたい方にはアルフレッド・スローン著の「GMとともに」の併読
をお勧めします。
ただ、訳に関しては特にトヨタの章で意味の通じにくい文章があり残念に思いま
した。(全体的にはテンポ良く読めました)
また、日本語訳版なのだから、訳者がもう少しそのファミリー企業の背景や現在
の活動などを注釈で簡単に説明をしてくれたらと良かったと思います。
(ただ訳すのは誰にもできるので、細かいフォローが欲しかった!)
各々のファミリーは、まさにダイナスティ(王朝)を思わせる内容でした。
「ダイナスティとは、革新である」 (面白く読めます)
おすすめ度 ★★★★★
企業統治と企業文化、それに企業のアイデンティティーに関して書かれた1冊です。
本書では、フォード、トヨタといった巨大企業の別の一面を取り上げています。
つまりファミリービジネスとしての側面を。
翻訳もののビジネス書によくある、
硬い文体と重たい論理構成に堪えて読み込んでいくと、
面白い世界が広がっています。
企業文化を創るのは創業者の意思であり、
オリジナルなカルチャーを作っていくためには、
近代的な株式所有だけによる資本の支配でなく、
企業の所有者が意識的に企業の精神を形作っていくことによる、
企業文化の積み重ねが大事だということが、
よく分かります。
組織にとって、歴史というのは大事です。
ダイナスティという言葉はよく分かりませんでしたが、
要はファミリーによる企業支配とその繁栄のことをさしています。
で、そのような統治体系は極めて保守的であると、
誤解されやすいですが、
事実は逆で極めて革新的な経営が行われていることが分かります。
またこういった企業は一種の「帝国」であって、
すごく巨大な権力が底辺に隠されていることも分かります。
この辺のエピソードは面白いです。(フォードとか)
トヨタにおける豊田家の役割などは、
ほとんど「神の手」に近いのではないかと・・・。
感服しました。
組織論としては、
ユニークだし、新しいと思います。