大ミサ曲はレクイエムに次ぐ名曲おすすめ度
★★★★★
このCDは89年にバーンスタインがモーツァルトのレクイエムを録音して2年ほど後に同じバイエルン放送合唱団とバイエルン放送交響楽団を率いて録音したものです。
レクイエムで名盤とされるベーム盤に負けない名演を聴かせてくれたバーンスタインが2年後に大ミサ曲に挑戦。私はフリッチャイ盤、ガーディナー盤、カラヤン盤のある種の軽さにあきたらなさを感じていましたが、バーンスタイン盤でようやく満足のいく独墺系の重厚な演奏にめぐり合いました。
確かにKMさんのおっしゃるところも一理あるのですが、大ミサ曲のソリストの人選はバーンスタイン自身がおこなったでしょうし、彼の目指していた大ミサ曲はレクイエムに負けない重厚さだったのだと思います。ソリストの出てくる場面ではオケの演奏も抑えぎみにして、ソリストの持ち味を殺さないようにバーンスタインが配慮している様もうかがえます。オケと合唱団が一体となって繰り広げる音の絵巻は圧巻の一言ですね。
『アヴェ・ヴェルム・コルプス』これぞ名演
おすすめ度 ★★★★☆
『アヴェ・ヴェルム・コルプス』は名演です。モーツァルトが作ったもっとも美しい音楽ではないかと思われるこの作品はバーンスタインによって聴く者を別世界にいざなってくれます。テキストがもつ宗教的意味もよく頭の中に入ってきます。
『アレルヤ』で有名な『エクスルターテ・ユビラーテ』も同じ意味で名演です。ただソプラノのアーリーン・オジェーの歌唱は完璧なんですが声の性質が明るくないところが不満です。それは『大ミサ曲ハ短調』においてもいえると思います。
『大ミサ曲ハ短調』においてバーンスタインは、いかにも彼らしくバイエルン放送合唱団とバイエルン放送交響楽団を完全に掌握し細かいところまでコントロールしています。その意味でこの演奏は完璧ではあるのですが、私には、いま一つ満足できないところがあります。
バーンスタインの指揮はたしかに荘厳です。しかし、この作品はたしかモーツァルトが結婚を記念してコンスタンツェに歌わせるために書いたもの。よって私はこの作品に対して荘厳さだけではなく華やかさ明るさを期待します。バーンスタインの指揮は、それらに欠け、いささか力が入りすぎて肩がこる演奏ではないかと私は感じます。
『アヴェ・ヴェルム・コルプス』『エクスルターテ・ユビラーテ』ではリラックスできるのですが『大ミサ曲ハ短調』ではできません。