壮絶な悲恋物語ですが…おすすめ度
★★★★☆
トーマス・ハーディ原作の名作小説を映画化した壮絶な悲恋物語です。
ストーリーも映像もどちらかといえば暗いというか陰湿です。したがって,内容はあまり深く考えないで単純にウィンスレットだけを追っかけていただければそれなりに満足感のある作品としてお勧めできます。
しかし,一度内容に惹き付けられますと深みにはまって考え込んでしまいますから要注意です。
くれぐれも深入りしないでウィンスレット注視ですよ。そうすれば思いがけない映像が楽しめると思います。
堅実な映画おすすめ度
★★★★☆
トマス・ハーディーが1895年に書いた『日陰者ジュード』の映画化。いつもいつもかっちりした映画を撮るウィンターボトムらしい映画で、その破綻のなさについては評価の分かれるところだと思いますが、少なくとも安心して見られる作りです(ただし話は救いがたく悲惨なので、楽しい話が好きな人は見てはいけません)。19世紀末イギリスというとすぐに出てくる犯罪や貧困の話ではなく、愛と制度の矛盾、階級と教育の矛盾といった現代的テーマを扱った『ジュード』を選んだのもさすがといえばさすが。
原作は邦訳が出ていますが、残念ながらあまりよい訳ではありません。19世紀の英文学は優れたものが多いのに、たいがい翻訳で損をしていますから、むしろ映画で楽しんだ方がよいかもしれません。
優れた古典作品おすすめ度
★★★★★
トーマス・ハーディ作品の映画化。教会の力が人々の生きかたを善くも悪くも律していた19末のイギリスの話。愛とは何か、人は教会の教えに背いてまでも自分に正直な生きかたができるのか、と問いかける。主人公のスーは、教会や社会に受容されない愛は報われないばかりか罪である、という結論を出す。1世紀以上の前の話とはいえ、人が人を教会や宗教の名のもとに「石持て追う」ことはまことに悲しい。イギリスでの人々の生きかたや衣装はこの1世紀の間に随分と変わったが、町並みは今も変わらない。イギリスの建物は石造りのため、戦火にも耐え、何世紀も前から変わらず残されていて、昔の面影を偲ぶことができる。同じ作者の「テス」に比べて「日陰のふたり」は、幾分知名度が低いからか、「日陰のふたり」の原作を読んだことがなかった。日常に追われてじっくりと本を読む時間がとれない現在、映画を通してでもよい古典作品に触れることができるのは幸いなことだと思う。
原作を読んでみたくなりましたおすすめ度
★★★★☆
子供も含めて人物がとても丁寧に魅力的に描かれています。重苦しい画面の中でヒロインの表情、しぐさがなんとも綺麗。一途な愛情を注ぎ続けるかなり濃い顔の主役も、はじめ、うっときましたが、どんどん素敵に見えてきました。世間に迎合せずに信じることを貫くことで不幸を招いてしまうふたり。もっと楽に生きればいいのに・・・とつい思ってしまいますが、今時見かけることのできないそんな姿に心を打たれます。いいもの見ました。
内縁の夫婦関係への社会の冷たい目おすすめ度
★★★★☆
原作を読んだことはないが、「愚か者ジュドー」がつまらない邦題になったものだ。若気の至りで性悪女に引っかかってしまったジュドーが聡明な従妹に惹かれるが、婚姻は取り消すことが出来ない。学者になる夢と教師の職を投げ打って暮らし始めた二人だが、内縁という関係は世間に拒絶される。さらに突然現れた妻に子供を押し付けられ、決定的な不幸が…。
タイタニックでは嫌いだったが、この映画を観てケイト・ウィンスレットを見直した。体当たりの出産シーンはあっぱれな女優というしかない。出産を神格化している人には刺激が強いかもしれない。