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幾度目かの最期―久坂葉子作品集 (講談社文芸文庫)

久坂 葉子
おすすめ度:★★★★★
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花の命は短くて、苦しいことのみ多かりき
おすすめ度 ★★★★★

 まさに元祖天才少女。
 文体を見れば洗練や簡明とはほぼ無縁、とげとげしく荒削りで、しかし、それゆえにこそ、
ひたすら愚直な彼女の素質が伝わってくる。

 本書所収の「灰色の記憶」は紛う方なき名作。
「私は、いろんなものを持っている。
 そのいろんなものは、私を苦しめるために活躍した」。
 私を私たらしめる「いろんなもの」、そしてそれゆえにただ「中ぶらりん」であり続ける
他ない私を、どこか突き放したようで、そして同時に濃密な自己愛を湛えた文体で辿る
自伝的小説。

 彼女のカウントダウンを自ら綴った「幾度目かの最期」。彼女は小母へ向けて語る。
「これは、私の最後の仕事。これは小説ではない。ぜんぶ本当。真実私の心の告白なんです」
 その混乱と悲愴、愚直、孤独は読むものに苦しく迫る。

「女太宰」などという称号も一部にはあるようだが、私に言わせれば、それは完全に的外れ。
というのも、死ぬ死ぬ詐欺のどこぞの輩よりも彼女の方が器は圧倒的に上なのだから。
 しかし、そのエネルギーのあまりに膨大であるがゆえにこそ持て余し、文学的完成とは
あまりに程遠いまま、自死を以ってわずか21年のその生涯を閉じるほかなかったというのは
宿命といえば宿命。
 川崎財閥の令嬢というその生まれといい、果てしない才能といい、他のものがいかにそれを
欲しても易々とは手に入らぬものをことごとく有しながら、それを徹底的に拒絶する生き様、
否むしろ持つがゆえの葛藤、ある種の壮大な無駄遣い、そうする他なかった彼女の凄みに
触れたい人は是非。



破滅型シティガール文学
おすすめ度 ★★★★★

漱石の「三四郎」に出てくる美弥子は、生意気、自意識の強さ、とは裏腹におくてで純粋といった、今でもある種のシティガールにいそうな特徴を備えているのだが、若くして自らの命を絶った天才少女作家、久坂葉子は、破滅型のシティガールのハシリだったのだと思う。

自意識のつよさ、プライドの高さとは正反対の劣等感、その不器用さ、純粋さ…

あまりに痛々しく、読み通すのはつらいけど、今の時代こそ、もっと読まれてもいい作家なのではないだろうか?


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