夢と冒険とおすすめ度
★★★★★
うろ覚えですが、『三銃士』や『岩窟王』やアルセーヌ・ルパン(だったかしら)
そんな色々な面白さを詰め込んだ作品を書きたいと作者がどこかに
書かれていました。確かに影響をうけています。
舞台は16世紀末エリザベス女王の統べる英国。
スペインとの宗教戦争のまっただなか、王家の血を引く双子と
美貌の敵国人、そしてかっこいい同国人たちの恋の物語です。
伯爵や公爵や女王陛下や枢機卿などがでてきます。
ジプシーや泥棒や海賊や幻のインカの伝説なんていうのもでてきます。
こんなタカラヅカ真っ青のような豪華な設定の少女漫画が昔はあって
週刊誌で毎週読むことができたなんて、とても幸せなことでした。
確かに微妙に荒唐無稽だったり、歴史の考証ミスはありますが、
たとえば『三銃士』の荒唐無稽が決して作品のキズではないように
この作品の荒唐無稽さも、作者の執筆の勢いとして、光り輝くように
感じています。
また、この歴史考証はどうのこうのというのも少女漫画の読み方としては
つまらないものだと思いますので、西洋史に詳しい方も目くじらを
立てずにロマンの旅にでてほしいです。
読後に、登場人物の名前の由来を映画スター、歴史上の人物
小説の登場人物などに探したりするのも楽しいです。
もしかしたら、暇人向きでしょうか。
残念ながら未完ではありますが、1部から3部まであり、各部で完結した
ストーリーですので、十分楽しめます。
1部と2部だけ読むという読み方もあるかもしれません。
この作品の完結を願っていましたが、このような素敵な漫画に
子供のころに出会えただけでも、私は作者にとても感謝しています。
そして、とても才能のある漫画家であった山本鈴美香さんが少女漫画界から
早くに去ってしまわれたことを、いつまでも残念に思います。