女性作家の一生おすすめ度
★★★★☆
物語は淡々とした一人称で書かれており、読みやすく、さらっと入ってくる。
『自伝的』とあったけど、無駄にドラマチックだったり波瀾万丈な話ではなくて、どこか客観的に日々のことが描かれていて、主人公の努力だったり、文学に対する熱意に好感が持てました。
当時の時代背景をほとんど知らない私も丁寧に説明されていたので入りやすかったし、三島由紀夫をはじめとした著名な人物も登場するので興味深く読めました。
戦後の青春は、つつましくひたむきだった。
おすすめ度 ★★★★☆
戦後、24歳で学習院女子短大に入学したヒロイン。大学と一緒の文芸部で、かつて胸を病んだ男と出あったり、人気作家の三島由紀夫のもとに遊びに行ったり、同人誌の印刷費用を稼ぐ為にイベントを企画したり、遅まきながら学生生活を満喫する。そして、少女小説の持込みにも挑戦…雑誌に載り、生計を立てられるようになって・・・という青春編が第1部。第2部では、胸を病んだ男・圭介と結婚して、ヒロインと夫がお互いに小説家を志して書き続ける生活が描かれる。どちらかだけが評価されたり、賞に推薦されたり、という微妙な感じが読んでいてすごく緊張感があった。文学の集まりで知り合った瀬戸内晴美(寂聴)など、実在の文壇関係者の登場も面白い。
戦後の青春と、創作者として生きていこうとする一組の夫婦の相克・・・読み応えのある1冊。
淡々とした文章で描かれているが、ヒロインや登場人物は皆文学を愛する情熱的な人だったり
しっかりものの親類だったり、その輪郭はそれぞれにくっきりと魅力的だ。