結構、来るとこまで来てますんでおすすめ度
★★★★★
大越作品に共通する注意点、
「エログロ、血、内臓、身体欠損、障害、人形愛、死体等に抵抗のある人にはオススメ出来ない」
という部分に於いて、今までの大越作品の中でも1,2を争う程の大越ワールドが、
赤く澱んだ渦となって本書の中には充満しています。
初期作品に比べて格段に上がっている画力や描写能力とは別に、
タブーや、思わず目をそむけてしまうような精神汚染色の強い描写、内容やテーマ、結末は、
大越ファンの方々でも(月喰ウ蟲にあるような)「耽美さ」を求めている人には
少々キツい内容かも知れません。
相変わらず文章説明が詰め込まれたコマがあったり、
一部写真からの取り込みにチャレンジしてるけどあんまり上手くいってないような背景、
時節ネタやちょいと強引な展開もあったりしますが
大越孝太郎のある意味正常に狂った異端の雰囲気を愉しみたい人は、買って損は無いと思います。
入門書としてではなく(入門書は「月喰ウ蟲」か「フィギッシュ」あたりがよろしいかと)、
大越作品に慣れた人、更に言うなら
見る人によっては「耽美さ」を排除したともとれそうな
グロに偏り気味な拷問世界を許容出来る人、愉しめる人が読んだ方が良いでしょう。
尤も、そんなグロの中にも、氏の美しく青白い女性たちや
猟奇の裏に潜む様々な理由、本心、因果によって見え隠れする大越孝太郎らしい
「美しさ」がありますので、最初にある「大越作品に向かない人」で無ければ
充分に堪能できる内容だと思います。
マルサイ事件簿おすすめ度
★★★★★
大越孝太郎の、久しぶりの新刊です。
猟奇刑事マルサイは、これまでの単行本《フィギッシュ》《不思議庭園の魔物》などに散発的な形で短編が収録されています。全部で9つの短篇と、解説つき。乱歩や有名番組を下敷にしたタイトルに、遊びがあります。変わらない、透明感のある女性の絵が非常に美しいです。大越孝太郎の女性は、美しいけれど妙に理想化されておらず、生き生きしているのが好きです。ただ、猟奇という言葉からも分かる通り、過激な描写も多いので、そこに拒絶反応が出る方は、気を付けて下さい。
もちろんキワモノ的な描写ではなく、人間の悲しさを作者は真摯にとらえて描いているのですが、そのために好悪は分かれると思います。
後味爽やかなグロさ
おすすめ度 ★★★★★
とにかく分厚い!かなりのボリュームなので、コミックスにしてはやや高い値段でも納得です。
内容も“大越節”が炸裂といった感じで、緻密な描写でのエログロが満載。
グロいといっても、この人の場合嫌悪感を全然感じさせないので、この手のジャンルが苦手な人も読みやすいと思います。
単行本は4年ぶりということですが、そんなブランクなんて感じませんでした。買いです!