40歳になった原田知世の新譜。25周年メモリアル・アルバムでもある。前作『My Peaces』が羽毛田丈史氏とのコラボにより細部に渡るまで注意を払い作り込んだ内容だったのに対し、今回はより自然体に近い形で“歌を綴った”印象が強い。彼女独特の浮遊感が一層増し、Light & Smoothな空気が漂う非常にハイソなアルバムに仕上がった。
彼女が尊敬するミュージシャンらが全面的にバックアップする中、プロデューサー・伊藤ゴロー氏が彼女の原形を深く理解し演出している事が好結果を生んだものと思う。封印していた“あの代表曲”をボサノヴァで披露しているが、全く構える事なく自然な形で歌っており、これがまた新たな名曲となって蘇ったように感じる。彼女自身、アイドル時代のこの楽曲を変に意識する事なく歌えるようになった、その“抜けた状態”に遂に彼女は到達したのだ。
自然体で横を向いて立っている彼女がこのアルバムのジャケット写真。この姿こそが、今の原田知世の姿そのものなのだろう。ナチュラルこそが最も美しい。理想的なアーティストの姿がここにある。
透明感と浮遊感おすすめ度
★★★★★
原田知世もいよいよ四十路かぁと思いつつ聴いたこのアルバム。
透明感のある歌声が相変わらずで、ホッとします。
鈴木慶一さんのプロデュース以降、自然体かつシンプルなポップスをずっと聴かせてくれている彼女。
このアルバムは、彼女の持つナチュラルな浮遊感が出ていて、飽きのこない仕上がりになっています。
聴き込むたびに愛おしさが溢れてくる、そんな感じでしょうか。
どの曲も愛おしい仕上がりですが、個人的にうれしいのは「色彩都市」。
その昔、大貫妙子さんが坂本教授アレンジで歌った曲。
それが伊藤ゴロー氏のプロデュースにより一味違う趣きで、原田知世さんの色を感じさせる曲として十分楽しめます。
いいと思います。おすすめ度
★★★★☆
入院中、ずっと聴いていました。
シンプルでいて、素材で勝負といった内容でしょうか。
アルバム全般、素朴でやさしさ溢れるしあがりになっていると思います。
世代が彼女と同じで、世界観に共感が持てます。
お勧めは、「きみとぼく」。「くちなしの丘」ですね。
リメイクした「時かけ」はどうかなー。
悪くは無いと思います。
原曲の詩の世界が確立されており、メロディラインが秀逸なのでしょう。改めて思います。
昔、歌謡曲番組でヒットチャートに毎週名を連ねていましたし、確かになかなかの名曲です。。
でも、この曲に関しては、僕はオリジナルの方が好きですね。
ボーカルは星5つ
おすすめ度 ★★★★☆
多くのレヴューの通り、原田知世のヴォーカルを生かすプロデュースで、アルバムの性格を考えれば、それはそれで良いのですが、トーレ・ヨハンソンや羽毛田丈史のときのような、個性のぶつかり合いがよかったなぁ〜、という私のようなものにとっては、サウンド的には、星3つ。というわけで星4つです。
なので、個人的には、高橋幸宏とのバンドに期待しています。この駄文をたまたまご覧になったYMOおよび、幸宏のファン(昔からのファンのこと。ビールのコマーシャルからファンになった方は除く)ヴォーカルは期待していて良いと思いますよ。
あ、誤解のないように書いときますと、原田知世のファンなら、間違いなく星6つぐらいあげても良いアルバムです。とり・みき氏なら同意してくれると思います。
概要
naomi & goro/MOOSE HILLで活躍するギタリスト/コンポーザーの伊藤ゴローをプロデューサーに迎えた、デビュー25周年記念作品。鈴木慶一、高橋幸宏、高木正勝、キセルら豪華な作家陣に、ビートルズ、バカラック、大貫妙子のカヴァー曲も違和感無く溶け込む。ボサ・スタイルにとどまらないスムースなアレンジに彼女の涼しく澄んだ歌声が漂うまさに上質な仕上がり。「シンシア」「時をかける少女」のセルフ・カヴァー二曲も新鮮に響く。(江畑 謙)