「罪」と「罰」・・・おすすめ度
★★★★★
何度も観返している映画です。
初めは、周知の通りスリラー映画だと捉えていました。
しかし次第に、これは一つの宗教映画なのではないかと
いうふうに、見方が変わりました。
大食、強欲、怠惰、肉欲、高慢、憤怒、嫉妬という、
キリスト教圏においての七つの罪に次々と罰を下していく犯人。
なんと、彼に次第に感情移入していく自分がいました。
神の視点からは、刑事も殺人犯も罪人である…
日本人の文化圏からは抵抗がある思想でしょうが、
この映画の核心的なテーマは、原罪であると思います。
「神のみわざは不可思議だ…」
物語のクライマックスで犯人がつぶやく言葉を噛み締め、
好きな方も嫌いな方も、ぜひ再々鑑賞していただきたい作品です。
第三の災いおすすめ度
★★★★★
先日読んだ「Newsweek」の映画評に酷評されていた、フィンチャー監督の出世作「Seven」であるが、個人的にはハリウッドの流れを変えた傑作に感じる。日本人にはなじみのないキリスト教の七つの大罪になぞられて映画は進行していくが、事前知識の有無は関係なしに飽きずに見ることができるだろう。その理由には、映像センスが郡を抜いている点があるからだろう。たしかに、安易なメッセージや、古典文学を引き合いに出すことは稚拙な点があるのかもしれないが、鑑賞に堪えるに値しない、暢気な「娯楽映画」よりは幾分も優れているだろう。鑑賞するときは、「ダンテ」と「聖書」があればなおよいかもしれない。
考えさせられる作品おすすめ度
★★★★★
物語が進むにつれ、どんどん引き込まれていくストーリー展開、グロイ映像といつも雨の狭い背景のシーン、そしてなによりも、ブラッドピットとモーガンフリーマンのコンビのセリフと素晴らしい演技が作品全体を質の高いものへと仕上げています。ラストでは、晴れた広い背景と、楽しみで仕方がない勝ち誇った表情上に満ちた犯人が描かれており、それは驚愕の結末へと結びついていく。人生や感情をひにくった文学的でもあるこの作品はいろいろと考えさせられるものでもあり、とても印象に残る作品でした。
デビッド・フィンチャーの第2作にして最高傑作
おすすめ度 ★★★★★
監督デビッド・フィンチャーのデビュー作は不評だった「エイリアン3」だったが、その後がこの作品というのも不思議なくらいの傑作。雨降りが続く暗い画面、神経質なタイトルバック、グロテスクな死体、凝った構図など、独特の映像美だがバッドエンディングといい一歩間違えば不快感極まりない作品になりかねない題材ではある。
ブラッド・ピットをはじめ、モーガン・フリーマン、グウィネス・パルトロウ、ケビン・スペイシーなどの出演者の演技もハイレベル。有名なカイル・クーパーのタイトル、エンド・タイトルも上から流れてくるのが斬新。
この作品と「ファイト・クラブ」で燃え尽きてしまった感のあったデビット・フィンチャーだが、最新作の「ゾディアック」で復調の兆しが見えてきた。第2のタランティーノにならないことを祈る。
概要
退職間近なベテラン刑事サマセットが、血気盛んな新人刑事ミルズとコンビを組む。その2人の前に起こったのがキリスト教の「7つの大罪」に基づく連続猟奇殺人事件だった。そして犯人の魔の手が刑事へも…。
7つの大罪とは、憤怒・嫉妬・高慢・肉欲・怠慢・強欲・大食。肥満した男が食べ物につっぷして死に、弁護士は高級オフィスビルで殺害される。監督はこの作品で「密閉感あるスリラー」の名手と定評を得たデビッド・フィンチャー。モーガン・フリーマンが老刑事、ブラッド・ピットが若手刑事を演じる。そしてピットの妻にブレイク前のグウィネス・パルトロウが演じている。(アルジオン北村)