懐かしさを感じさせる青春小説 おすすめ度 ★★★★☆
物語は新潟を舞台に17歳の高校生ゲンが、父の死を経験し、激しい欲望にもがき続ける姿を描いた連作小説。ゲンが抱える悩みや葛藤、卒業直前の父の死、そして童貞喪失……が描かれるのですが、青春小説ではあるものの、主人公の心の重さや日常の物語が、つい自分の高校生時代はどうだっただろうかと思い起こさせてくれました。前半は淡々とした流れでしたが、後半訪れる父の死からラストまで、高校生として揺れ動く主人公の心が伝わってきましたし、物語が頭の中で映像として浮かぶような感じで、懐かしさも感じさせる作品です。
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