日本アカデミー賞を総なめにした本作品は前作以上に味わい深く、心にしみじみとした温もりを持たせてくれる良作です。出演者皆の演技が素晴らしいことはもちろんだが、昭和30年代に観客までもがタイムスリップしたかのような大がかりな舞台とCG技術が想像以上にすごい。本作で完結したかのようなストーリーになっていますが、可能であるならばいつの日か続編を見てみたい。
ぜひ「寅さん」「釣りバカ」シリーズに続く国民的シリーズにおすすめ度
★★★★★
前作「三丁目の夕日」があまりにも素晴らしい出来だったんで、続編が出る事には正直懐疑的だった。
素晴らしい映画作品の続編は大抵駄作になり、前作の余韻まで壊してしまう事が多いからだ(この傾向は邦画に特に強いと思う)
しかしこの作品を見て驚いた。
切なく懐かしく暖かいストーリー、俳優陣の素晴らしい演技(特に堀北真希の演技が素晴らしかった)、そして何より違和感なく昭和30年代をCG再現した事をはじめとする演出(CGでも心を込めれば暖かい映像が作れるんだな、と再認識させられた)、すべてが前作同様に素晴らしかった。
二作続けて泣かされた映画は初めてだった。
それも悲劇を見た時の涙ではなく、幸せな涙なのだから本当に素晴らしい。
145分という長めの上映時間ながら、あっという間に時間が経ってしまった様に感じた。
そしてエンドロールを見ている時には、この「三丁目」の雰囲気にまだまだ浸っていたいという欲求にさいなまれた。
前作に負けない出来だと感じたが、続編映画は潜在的にハードルが上がってしまっていると思うので、多分前作よりクオリティはアップしていたのだろう。
山崎貴監督の力量には感服せざるを得ない。
山崎貴監督は続編に難色を示していたようだが、ここまで見事な続編を見せられてしまうと、更なる続編を見たくなってしまう。
ここまで見事な世界観を創り上げてしまえば、あとはキャラクター達が自然にストーリーを紡ぎ出してくれるのではないだろうか?
ぜひ続編を続け「寅さん」「釣りバカ」シリーズに続く国民的シリーズにしてもらいたい。
この優しく暖かい作風は、すべての世代に受け入れられると思うし、クオリティを見ても「国民的シリーズ」になる資質は十分持っていると思う。
つかみはOK
おすすめ度 ★★★★★
オープニングのゴジラシーンだけでOK!
よくぞ作った!拍手!拍手!
なつかしいあの頃が、おじさんにはなんとも言えず、うれしい。
最近のハリウッド映画のつまらなさにぼやいていた今日この頃。
やはり、日本の親父は演歌、時代劇、ゴジラにかぎるよね!
概要
前作は東京タワーができるまでの夕日町に住む人々の姿が綴られた。今回は東京タワーも完成した昭和34年春からの物語。東京オリンビック開催が決定し、高度成長期へ突入した日本を背景にした人情劇が展開する。
メインとなるのは今回も駄菓子屋を営む茶川(吉岡秀隆)と、鈴木オートを営む鈴木家の物語。去ったヒロミ(小雪)のことを思い続けながら、彼女が連れてきた淳之介(須賀健太)と暮らす茶川。だがまた実父が淳之介を連れ帰りたいと言ってきたため、安定ある生活を求めて再び彼は芥川賞を目指して小説を執筆。実際に候補者へとなっていく。一方、鈴木オートではこれまでお嬢様として育てられた親戚の少女を預かることになり、またいろいろな騒動が巻き起こっていく。
個人的に考えさせられたのは、当たり前のように子供たちが親の手伝いをする姿。今では子供だけで買い物をする姿なんてまず見かけないが、本作では勉強や遊びの前に大人の手伝いをする子供たちの姿が描かれていて興味深い。そんな中から人は助け合う心などを学んだのでは? 映画でしか(あとはアニメ『サザエさん』くらいしか)こんな日本らしい姿を見ることがなくなった……というのもなんだか寂しい話だと思う。(横森文)